ル・マン24時間耐久レースで優勝することを目標に、熱い情熱を持って挑んだふたりの男を描く映画『フォードvsフェラーリ』。
今回は、映画『フォードvsフェラーリ』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。
目次
『フォードvsフェラーリ』の作品概要
上映日 | 2020年1月10日 |
---|---|
上映時間 | 153分 |
制作国 | アメリカ合衆国 |
監督 | ジェームズ・マンゴールド |
脚本 | ジェズ・バターワース/ジョン=ヘンリー・バターワース/ジェイソン・ケラー |
音楽 | マルコ・ベルトラミ/バック・サンダース |
出演 | マット・デイモン/クリスチャン・ベイル/ジョン・バーンサル/トレイシー・レッツ/ジョシュ・ルーカス/カトリーナ・バルフ/ノア・ジュプ |
1960年代後半のル・マン24時間レースを舞台に、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード社から絶対王者フェラーリ打倒を託された “はみ出し者” ふたりのプライドと情熱を懸けた戦いの行方を、迫力のカーレース・シーンとともに描き出す感動の実話ドラマ。
『フォードvs.フェラーリ』のあらすじ
元レーサーのカー・デザイナー、キャロル・シェルビーのもとに、巨大企業フォードから信じがたいオファーが届く。
それはル・マン24時間レースで6連覇中の王者、フェラーリに対抗できる新たなレースカーを開発してほしいとの依頼だった。
シェルビーはその困難な任務に挑むため、型破りなドライバー、ケン・マイルズをチームに招き入れる。レースへの熱い思いを胸に幾多の課題を乗り越えるうちに、いつしか固い友情で結ばれていく。そして、ふたりはフェラーリとの決戦の地、ル・マンに乗り込む。
登場人物紹介
キャロル・シェルビー(マット・デイモン)
1950年代後半に敏腕レーサーとして名を馳せるが、心臓の異常が判明して引退。その後、スポーツカー製造会社シェルビー・アメリカンを設立し、カー・デザイナーに転身して成功を収める。ル・マンなどでの過去の実績を買われ、フォードから新たなレースカーの開発を任される。
ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)
イギリス出身の型破りなレーサー。現在はアメリカで小さな自動車整備工場を営む。フォードからのオファーを受けたシェルビーと手を組む。極端に怒りっぽい性格が災いすることもあるが、レーサーとしての腕は抜群。同じ目標を共有するシェルビーと友情を育む。
[box class="white_box" title="フォード社"]リー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)
フォードでマーケティング戦略を手掛ける切れ者。フォードの経営を立て直すには、若者にアピールする車を売り出すことが重要だと訴え、フェラーリの買収話を進める。しかし交渉は成立寸前で失敗し、自前のレースカーの開発をシェルビーに託すことに。
ヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)
創業者の祖父ヘンリー・フォードが大企業に育て上げたフォード・モーター社を受け継ぎ、1960年から会長についた。買収話を蹴ったフェラーリに並々ならぬ敵対心を抱き、ル・マンでフェラーリを破るよう号令を下す。
レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)
フォードのモータースポーツ部門を統括する重役。ケン・マイルズの傍若無人な振る舞いに不快感を抱く。シェルビーとマイルズに無理難題を押し付ける。
[/box]モリー・マイルズ(カトリーナ・バルフ)
ケン・マイルズの妻。家族の将来に不安を感じながらも、無鉄砲な夫を心から愛し、見かけは可愛らしい半面、夫を激しい口調で叱咤する勝ち気な一面も持っている。
ピーター・マイルズ(ノア・ジュプ)
ケン・マイルズのひとりの息子。レーサーである父親の影響で、幼い頃からモータースポーツの世界に親しんできた。つねに慕っている父親のル・マン挑戦を、母親モリーとともに応援する。
キーワード
フォード・モーター
アメリカ・デトロイトに本拠を置く世界的自動車メーカー。大規模大量生産で自動車産業に革命をもたらしてT型フォードは累計1500万台以上が生産され、歴代でもフォルクスワーゲンタイプ1(ビートル)に次ぐ生産台数である。
フェラーリ
イタリアに本社を置く世界的なスポーツカーメーカー。高性能スポーツカーを販売しているが、先に起業したのはレーシングチーム。レーシングマシンをベースにスポーツカーの製造販売を始めたのは他社にない発想だった。1951年から開催されているF1世界選手権を現在まで連続参戦を貫く。
ル・マン24時間耐久レース
F1のモナコ・グランプリ、アメリカのインディ500と並び「世界三大レース」と呼ばれる。昼夜を通して24時間、一台の車を複数のドライバーが交代で運転しサーキット周回数を競うレース。
約100年にわたる歴史と非常に高い人気を誇る。このレースでの勝利は自動車メーカーにとって最高の名誉とブランド価値をもたらす。
[出典:20世紀FOX公式サイト]
『フォードvsフェラーリ』のネタバレ
シェルビーとマイルズの出会い
1950年代後半に敏腕レーサーとして名を馳せたキャロル・シェルビーは、心臓の異常が判明して引退。その後、スポーツカー製造会社シェルビー・アメリカンを設立した。
シェルビーは多数のセレブリティを顧客に抱え、気鋭のカー・デザイナーとして成功するも、本心ではレースを渇望していた。
イギリス人レーサーのケン・マイルズは、第二次世界大戦終結後、アメリカに移住し、現在は自動車整備工場を経営しながら、型破りな自作カーでレースに出場し活躍していた。ケンは妻のモリーとひとり息子のピーターと幸せな家庭を築いていた。
あるレース会場でマイルズとシェルビーは出会う。シェルビーは会話の流れからマイルズを挑発してしまい、怒ったマイルズにスパナを投げつけられた。
しかし、マイルズは巧みなレース運びを見せ優勝。シェルビーはマイルズの実力を認めて、投げつけられたスパナをオフィスに飾った。
一方、マイルズは税金の滞納で自動車修理工場を国税局に差し押さえられ、生活が行き詰まっていた。40代という年齢という若くない年齢もあり、マイルズは「レースを辞めて地道に働く」とモリーに宣言する。
打倒フェラーリ
そんなある日、シェルビーのもとに、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社から思いがけないオファーが届く。
それは「ル・マン24時間耐久レースでフェラーリ社に勝てる車を作ってほしい」という途方もない依頼だった。
その背景にはフォードの会長であるヘンリー・フォード2世の憎悪にも似たフェラーリへの対抗心があった。
フォードでマーケット戦略を担当するリー・アイアコッカは、若い世代のユーザーを魅了する “速くてセクシーな車” を売り出すべきだとフォード2世に進言し、フェラーリの買収計画を進めてきた。
アイアコッカは意気揚々とフェラーリ本社を訪れ、契約の話を進める。ところが、契約成立直前、レース部門を手放したくない創業者のエンツォ・フェラーリが態度を翻して交渉は決裂。
フェラーリ社は、裏ではフォードをダシにしてフィアット社への売却価格を釣り上げていた。
エンツォはアイアコッカに「フォードは酷い車を量産する酷い工場だ。重役たちは間抜け」と暴言を吐く。さらに「現会長のフォード2世は所詮 “2世” だ」と言い放った。
エンツォの傲慢な振る舞いに激怒したフォード2世は打倒フェラーリに燃えて新たなレースカーを作るように命じる。それを受けてアイアコッカはシェルビーに白羽の矢を立てたのだった。
無謀な挑戦に挑むふたり
1960年から直近の1965年までのル・マンを6連覇中のフェラーリは、モータースポーツ界の絶対王者だった。
しかも悪天候に見舞われようと昼も夜も24時間ぶっ通しで過酷なコースを走る車には、並外れたスピードと頑丈さが要求される。
それでも、フォードの本気を感じ取ったシェルビーは、不可能とさえ思えるオファーを受託した。
かつて1959年のル・マンにアメリカ人レーサーとして初めて優勝した経験を持ちながらも、無念の引退をしたシェルビーの胸の奥底には、今なおレースの世界への熱い思いがくすぶっていた。
次のル・マンまで90日と準備期間はわずかだった。シェルビーが真っ先に足を向けたのは、マイルズだった。
マイルズに一度は断られたものの、シェルビーはあきらめなかった。シェルビーはイギリスから空輸されてきたばかりのフォードGT40の試乗にマイルズを誘い出す。
マイルズは、解決すべき技術点を次々挙げるも、その驚異的なスピードを出せる “マシン” に心動かされる。さらに、フォードから提案された報酬は1日200ドルという破格の条件。
マイルズはモリーとピーターにも背中を押され、シェルビーの無謀な挑戦に加わることを決意する。
レーシングカーの設計
こうしてシェルビーとマイルズは史上最高のレーシングカーを生み出すため、フォードGT40の抜本的改良とテストを重ねていく。
しかし妥協を知らないマイルズの歯に衣着せぬ言動は、フォードのレーシング部門の責任者に就任した副社長レオ・ビーブの反感を買ってしまう。
納得のいく改良が完成できないままル・マン24時間レースの日が近づく。シェルビーはマシンのことをよく理解しているマイルズをドライバーとして参加させようと考えていた。
しかし、40代過ぎた粗野なマイルズが花形のレーサーというのは、フォードの“信頼”というブランドイメージにそぐわないとして、マイルズはル・マンの会場入りすら外されてしまう。
シェルビーは自らの力不足を侘びたが、マイルズは「ギアボックスに注意しろ」と最大の不安要素だけ伝えた。
マイルズは工場でひとり、ル・マンのレース模様をラジオで聞く。レースではGT40の速さが証明される一方で、マイルズの予想通り、ギアボックスが途中で壊れる。5連覇を達成したフェラーリに対し、フォードは全車リタイアという大惨敗だった。
シェルビーは、再びマイルズを除外しようとするビーブの思惑を察する。巧みな起点を利かせてフォード2世に直談判し、ミッション達成に必要不可欠なマイルズを守ることに成功した。
レースへの純粋な情熱を共有するシェルビーとマイルズはいつしか固い友情で結ばれていた。
ふたたびタッグを組んだシェルビーとマイルズは、月日をかけてGT40の改良をさらに重ねる。試走で一度、ブレーキが利かなくなるフェード現象を起こして車が大炎上するが、マイルズの命に別状はなかった。
カーレーサー部門の責任者としてビープは度々シェルビーとマイルズの邪魔をする。
しかし、マイルズの乗ったGT40は1966年のデイトナ24時間耐久レース、セブリング12時間レースと、ル・マン前哨戦のレースで結果を出す。
ル・マン24時間耐久レース
こうして、マイルズは初めてドライバーとして決戦の地、フランスのル・マンに乗り込む。マイルズの妻モリーとピーターはアメリカの自宅でテレビ中継でその様子を見守る。
いよいよレーススタート。開始早々、他の車が数台クラッシュする。マイルズは運転手席のドアが閉まらないというアクシデントに見舞われ、フェラーリ車に大きく遅れを取ってしまう。
しかし、ピットでドアを修理後、マイルズが乗り込んだフォード1号車は驚異的な追い上げを見せる。時速230km近くを出して、レコードを次々塗り替える。
夜になり強い雨の中でもレースは続く。マイルズはフェラーリ21号車を抜こうとするが、GT40のブレーキが壊れてピットに戻る。ブレーキの交換は違反だったが、チームはブレーキは “部品” だと言い張って交換した。
夜が明けて雨はやんだ。あとはトップはフェラーリの21号車を2回抜くのみ。壮絶なデッドヒートを繰り広げた後、マイルズは7000rpmという危険な回転数を巧みに利用してフェラーリを追い抜く。
マイルズについて行けず21号車は故障。他のフェラーリ車も全滅していた。このまま完走すれば、マイルズを先頭にフォード車が1、2、3着と圧勝だった。
レースの結果
フォード社のバックヤードはすっかり優勝ムードに包まれる。ビーブは「1周多く走っていたマイルズを減速させて、フォード車3台が同時にゴールを切るのはどうか」とフォード2世に進言する。
しかし、ビーブからその提案を聞いたシェルビーは怒りを爆発させ「私のドライバーに近づくな」と言い放つ。
次の出走を待機していたマイルズは、その様子を見て事情を聞く。シェルビーは「君の車だから自分で決めていい」と思い切り走るよう送り出した。
マイルズはアクセル全開で出走し、渾身の走りを見せつける。会場もマイルズ・コールをしていたが、マイルズはそのまま走りきらずに減速した。
そして、後続のフォード車2台がマイルズの横につき、3台そろってゴール。米国社製の車がレースを制覇した歴史的瞬間だった。
しかし、出走時の車の位置が考慮されて実質的な優勝は2号車のマクラーレンになった。ビーブは引き分けにならないことを知っていたのだった。会場がマクラーレンの優勝に沸く中で、エンツォ・フェラーリはマイルズに敬意を表した。
「優勝を盗まれた」と憤るシェルビーに対し、「車を売るためだ」とマイルズは冷静だった。ふたりは課題を報告し、次のレーシングカーの相談を始めていた。ふたりは肩を組んで賑わう会場を後にした。
その後
それから数ヶ月後、マイルズはシェルビーらのチームと一緒に新しいレーシングカーの試走をしていた。息子ピーターに見守られながら、マイルズは発進。
回転数が7000rpmを超えたあたりで、マイルズはコントロールを失い、コースアウト。車は大炎上した。慌ててみんな駆けつけるが、マイルズは車から出てこなかった。
半年後、シェルビーは自社のレーシングカーを売り出していたが、かつてのような気前の良い接客はできなかった。シェルビーはまだ親友マイルズの死から立ち直れていなかった。
シェルビーはマイルズに投げられたスパナを持ってマイルズの自宅へ向かうが、モリーに何と声をかけていいかわからなかった。そこに、ピーターが現れる。
シェルビーは「言葉は時に役に立たないが、道具は役に立つ」と言ってピーターにスパナを渡す。そして、シェルビーは涙をこらえて車を走らせるのだった。
『フォードvsフェラーリ』の感想
レースへ情熱をかけた男たちの熱いドラマが描かれていました。疾走感のあるレース・シーンだけでなく、ピットで技師がトラブルに対処したり、レーシングカーの危険な試走があったり、手に汗握る展開に引き込まれました。
また、フェラーリとフォードという有名な自動車メーカーが、裏ではブランドをかけた熾烈な争いをしていたという歴史的なストーリーも面白かったですね。
シェルビーとマイルズの友情や、マイルズとピーターの父と息子の関係にもグっと来るものがありました。
2時間半というやや長めの映画ですが、カー・レースや車の知識がない人でも十分楽しめる作品になっています!
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