二人の男が、「殴り合いクラブ」を設立する。
「衝撃作」と謳われる、1999年公開のカルトムービー。
今回は、映画『ファイト・クラブ』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想・視聴方法をご紹介します。
目次
『ファイト・クラブ』の作品概要
上映日 | 1999年 |
---|---|
上映時間 | 139分 |
制作国 | アメリカ |
監督 | デビッド・フィンチャー |
原作 | 『ファイトクラブ』/チャック・パラニューク |
脚本 | ジム・ウールス |
音楽 | ザ・ダスト・ブラザーズ |
主題歌 | ピクシーズ「ホエア・イズ・マイ・マインド」 |
出演 | エドワード・ノートン/ブラッド・ピット/ヘレナ・ボナム・カーター/ミート・ローフ/ジャレッド・レト/デビッド・アンドリュース |
1999年公開の映画『ファイト・クラブ』。映画は男同士で殴り合うための秘密集会を立ち上げるところから始まり、たびたび登場する血みどろの戦いのシーンや、現代社会に反骨するようなテーマ性から、カルトムービーとして一部の視聴者から熱狂的な評価を得ている。
複雑に張られた伏線や、エドワード・ノートンやブラッド・ピットを始めとした豪華俳優陣の狂気をはらんだ演技もファンからの絶賛を浴びている。ピクシーズによるエンディング曲『ホエア・イズ・マイ・マインド』は2015年、映画のエンディング曲ベスト10に選ばれた。
『ファイト・クラブ』のあらすじ
主人公のジャックはエリートだが不眠症に悩んでいる。そんな中、家が火事で全焼したのをきっかけに、飛行機で知り合った男タイラーの家に転がり込むが、その条件は「タイラーを力いっぱい殴ること」だった。
殴り合う快感を覚えたジャック。定期的に二人は互いを殴るようになり、見物客も増え、仲間も増えていった。そして二人は「ファイト・クラブ」という、男同士が殴り合うための地下集会を作り上げる。
登場人物紹介
ジャック(エドワード・ノートン)
大手自動車会社のリコール調査員。不眠症を患っている。
タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)
せっけんを売りさばく謎の男。ジャックとは飛行機で知り合う。
マーラ・シンガー(ヘレナ・ボナム・カーター)
死にたいけど死ねない女。重病患者のサポートクラブで出会う。
ロバート・ポールセン(ミート・ローフ・アディ)
ジャックの友人。あだ名はボブ。睾丸ガン患者のサポートクラブで出会う。
エンジェル・フェイス(ジャレッド・レトー)
ファイト・クラブのメンバーの男性。
『ファイト・クラブ』のネタバレ
不眠症に悩むジャック
ジャック(エドワード・ノートン)は、不眠症に悩んでいた。彼は大企業に勤め、地方を飛び回り、家には北欧の家具を揃えるような典型的なエリートだったが、眠れないことから日中もぼんやりと過ごしていた。
そんな中、医師から冗談混じりに勧められた睾丸がん患者のサポートクラブでボブ(ミート・ローフ・アディ)に出会う。ホルモン治療の影響で豊かな胸をもってしまったボブの胸に抱かれて泣いたジャックは、その日の晩、ぐっすりと眠ることができた。
サポートクラブにのめり込むジャック。病気ではないにも関わらずさまざまなサポートクラブに入り浸るようになるが、そこでたびたびマーラ(ヘレナ・ボナム・カーター)に出会うようになる。「インチキだ」と咎められているような気がして、また眠れなくなるジャック。
マーラを偽物だと罵るも、言い返されてあえなく終わる。連絡先を交換し、行くグループを分担することで決着がついた二人だったが、ジャックの不眠症は改善しなかった。
タイラーとの出会いと、家の焼失
そんな中、飛行機で出会ったのがタイラー(ブラッド・ピット)だった。同じスーツケースを持っていたところから話ははずんだ。せっけんを売りさばいているというタイラーの自由な生き方にジャックは惹かれ、連絡先を交換する。
そしてマンションに帰ってみると、家は火事でなくなっていた。漏れたガスに引火したそうだ。行く宛もなく呆然としたジャックは、タイラーに電話をかける。
酒場でタイラーと語り合うジャック。タイラーは「消費社会から自由になれ」と主張するが、ジャックはそうすぐには切り替えられない。
出口で解散しようとすると、泊まっていかないのか、と聞かれる。その条件として「力いっぱいタイラーを殴ること」を出され、怪訝な顔をしながらもジャックはその通りにする。そのうち殴り合いに発展した二人は、タイラーの家に向かう頃には、すっきりした顔でビールを飲んでいた。
タイラーという男
タイラーは夜型だった。せっけん販売のほかには映写技師やウエイターの仕事をしていたが、仕事中にさまざまな嫌がらせをしている。彼はたとえばファミリー向けの映画に1コマだけポルノを挟み込んだり、スープの中に小便を入れたりしていた。
タイラーの家はとてつもないボロ家で、電気も水道もまともに使えないようなところだった。そこで暮らすうちに、ジャックは消費生活から少しずつ脱却してきていた。ジャックはボロ家で暮らしながら会社に通勤し、週末になるとタイラーと殴り合う日々を送り、満ち足りていた。
殴り合いをする同士は、どんどん拡大していく。見物客は徐々に増え、次第にその人たちも殴り合いに参加するようになった。土曜の夜はいつもみんなで殴り合いをするようになり、そのうち、酒場の地下を借りて、「クラブ」へと発展する。
「男たちが望んでいたことに発散の場を与えた」と、ジャックはファイト・クラブにどんどんのめり込んでいった。
マーラとタイラー
また、ジャックのところには定期的にマーラから電話がかかってきていた。ある日「薬をたくさん飲んじゃった」と話すマーラの電話を聞いているふりをして受話器を放置し、身支度をすすめるジャック。だが、放置してしばらくすると、タイラーとマーラがセックスしている声が聞こえてくる。
マーラとタイラーの声は何度も聞こえてきた。さらには二人の仲を取りもたされている状況に、ジャックは半ばノイローゼになる。その上、タイラーにマーラと関係を持つ理由を問いただすと「あいつはどん底まで落ちる女だからだ」と言われてしまう。
そんな中、タイラーはジャックにさらに試練を突きつける。せっけんを作るためにジャックとともに美容クリニックに脂肪を盗みに入り、ジャックの手を化学薬品で焼き、「いつか死ぬってことを叩き込め」と諭す。ジャックはタイラーに追いつきたい一心で耐えた。
一方、ジャックはある日マーラに呼び出される。胸に乳がんとおぼしきしこりがないか確かめてほしいと言われ、言われたとおりに確かめるが、お礼はキスをされただけ。タイラーとの扱いの違いに、ジャックは嫌気がさしていた。
ファイト・クラブの発展
ある日、ジャックはボブと再開する。ボブがファイト・クラブに参加していることがわかったジャックは、次の殴り合いの日、大喜びでボブと殴り合う。ファイト・クラブは「口外禁止」であるにも関わらず、どんどんとその規模を広げていた。
その日もファイト・クラブを開催すると、酒場の本当のオーナーが現れる。ハラハラしながら周りが見守る中、タイラーはオーナーにわざと自分を殴らせ、ひとしきり殴られたあとに反撃する。最終的にオーナーから使用許可を勝ち取ったタイラーは、ファイト・クラブをより拡大させる。
クラブを拡大させる一つの方法が、「宿題」だった。タイラーはファイト・クラブの会員たちに「宿題」を与え、ファイト・クラブ拡大に貢献させていた。「誰かに喧嘩を挑んで、わざと負けろ」というタイラーの「宿題」に、ジャックは迷わず自分の上司のもとに行く。
無断欠勤や増える傷跡、だらしない服装から、会社で厄介者扱いをされていたジャック。さらにはかつて上司がやった不正をネタに上司を脅そうとするジャックを、上司がクビにしようと試みたところ、なんとジャックは自分を殴り始める。
まるでタイラーに殴られているかのように、自分を思いきり殴るジャック。血だらけのジャックが上司にすがりついたところで、タイミングよく警備員が入ってくる。ジャックは大量の慰謝料をもぎ取ると、口笛を吹きながら家に帰っていった。
一方のタイラーは、さらに計画を進める。夜中、タイラーはジャックを連れていろんな店に行き、次々と商品をダメにしていった。車をハトのフンだらけにし、コンピューターを爆破し、コンビニ店員を脅して勉強するように言う。
「消費社会への反骨だ、生きるための強さを思い出させるんだ」と語るタイラーに、ジャックはやりすぎだと感じるものの、タイラーのすることにも筋は通っていると感じていた。
軍隊を作れ
タイラーは突如、家を改造し始める。地下にたくさんのベッドを作り、3日間飲み食いせず耐えられた人間だけを受け入れ、畑を耕したりせっけんを作らせたり、トレーニングをさせた。タイラーは、まるで軍隊を作っているようだった。
その中で、ジャックはどんどんのけものになっていく。部屋を爆破したり、警察を脅したりという作戦について、ジャックは何も知らされない。そのことに不満を覚えたジャックがタイラーに詰め寄ると、タイラーは「お前の家を火事にさせたのは、お前をどん底に連れてくるためだ」と言い出す。
タイラーはジャックとともに乗った車を事故に合わせ、ジャックに生死の境を彷徨わせる。ジャックの意識が朦朧としている中、タイラーはジャックに語りかける。ヒーロー、とジャックを呼ぶと、タイラーは忽然と消えた。
タイラーを探せ
ジャックが目を覚ますと、タイラーはいなくなっていた。大急ぎでタイラーを探すジャック。そんな中、ボブが作戦遂行中に警官に射殺されたという報告が入ってくる。
ボブの遺体を目の前に泣き出すジャック。作戦に犠牲はつきものだと話す他のメンバーに、ジャックは怒り出す。「こいつは僕の友人だ、ボブ・ポールセンという名前を持った友人だ」と語るジャックに、メンバーは「彼の名前はボブ・ポールセン」と唱和し始める。
この状況は、明らかにおかしい。危機感を覚えたジャックは、タイラーを追って飛行機を乗り回すが、いつも一歩先にタイラーはいなくなっている。その最中で、ジャックはある疑念に襲われる。
全国にあるファイト・クラブの支部を回っている間に、メンバーに「ここに来るのは2回目ですね」と言われたジャック。そのメンバーの手のやけど痕に「これは誰がやったんだ」と問いただすと、「あなたです」と言われてしまう。
疑念に駆られたジャックは、マーラに電話をかけて自分たちがセックスしたことがあるか聞く。押し問答の末、「何を言っているの?タイラー」と言われる。
タイラーは、ジャックの別人格だったのだ。
計画を止めろ
タイラーと対話したジャックは焦る。クレジットカード会社のビルを爆破する計画がまさに今晩遂行されんとしており、さらにタイラーがマーラも消そうとしていたからだ。
まずジャックはマーラに自分にも行き先を告げずに地方に逃げるように懇願する。ジャックの言うことを全く聞かないマーラだったが、「君のことが好きだ、大事なんだ」と言うジャックが半ば無理やりお金を押し付けてくるのを見て、渋々ジャックの言うことに従う。
次にジャックは警察に行き、計画の全貌を暴露し、自分を逮捕してもらうように言う。しかし警官の一部はファイト・クラブのメンバーであり、「ジャックであっても、邪魔をするなら睾丸を切り落とすよう命令されている」と告げられる。ジャックは銃を奪うと、必死で逃げ出した。
問題のビルのうちの1つにたどり着いたジャック。計画を止めようと爆弾を1つ解除するが、それ以上はタイラーに止められ、うまくいかない。当然、タイラーは自分自身であるため、防犯カメラに映っているジャックは自分で自分を殴ってのたうちまわる異常者だった。
そのままジャックはタイラーに殴られ、階段から突き落とされて、ビルの最上階に連れて行かれる。銃を突きつけられて、邪魔をしないように脅されるジャック。タイラーの説得を試みるも、「全部成功させたのは俺だ」とタイラーに主張され、失敗する。
しかし、眼下に手下たちに捕らえられたマーラを見かけたジャックは一変する。「タイラーは自分だ」と強く念じると、ジャックは自分のもとに銃を取り戻すことができた。その銃を自分の顎に押し当て、タイラーを見据えるジャック。
「死ぬのは俺たちだ」と、ジャックはタイラーに語りかける。そのまま口に銃を突っ込み発砲すると、タイラーは静かに息を引き取った。手下を全員はけさせ、連れてこられたマーラと二人きりになると、崩れ落ちていくビルを見ながらジャックは「これからはすべて良くなる」と語った。
『ファイト・クラブ』の感想
1999年公開の映画にも関わらず、描かれている問題は現代社会でも変わりません。消費社会に取り込まれた息苦しさ、眠れない辛さ、そのことから生じる「救い」への依存。おそらく今でも、多くの視聴者がジャックを見て共感し、タイラーの行動にハラハラしながらも爽快感を覚えるでしょう。
しかし、そのジャックとタイラーが同一人物であれば話は異なってきます。細かい違和感が最後のどんでん返しによって回収されたあと、改めてジャック視点ではないジャックを想像すると、かなりの狂気をはらんでいることに気がつきます。
そうであるにも関わらず、最後のジャックとタイラーの対話のシーンでは、やはりジャックに共感せざるを得ないのです。大きな犯罪を冷徹にも企ててしまうジャックの理想人格と、その罪に耐えきれない、大事な人を失いたくないジャック本人の葛藤が痛いほど胸に迫ります。
本作は暴力表現なども多いことから、大衆受けはしないが熱狂的なファンがつくいわゆる「カルトムービー」と評判です。しかし、その強いテーマ性や入念に張られた伏線など、多くの人が楽しめ、考えさせられる一作かと思います。ぜひ一度ご覧ください。
『ファイト・クラブ』の視聴方法
『ファイト・クラブ』はDVDの購入やレンタル、Amazonプライムビデオなどの動画配信サービスで視聴することができます。
2020年6月現在、『ファイト・クラブ』を視聴できるサービスは以下の通りです。
サービス名 | 配信状況 | 月額料金 |
---|---|---|
U-NEXT | 有料レンタル | 1,990円 |
Hulu | 視聴不可 | 1,026円 |
Amazonプライムビデオ | 見放題 | 500円 |
Netflix | 視聴不可 | 800円 |
dTV | 有料レンタル | 500円 |
dアニメストア | 視聴不可 | 400円 |
TELASA | 有料レンタル | 562円 |
Paravi | 視聴不可 | 925円 |
NHKオンデマンド | 視聴不可 | 990円 |
TSUTAYAプレミアム | 有料レンタル | 1,100円 |
Disney+ | 視聴不可 | 990円 |
DAZN | 視聴不可 | 1,750円 |
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- 視聴不可:お取り扱いがありません。
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