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映画『花とアリス』のあらすじ・ネタバレ・感想

不思議な三角関係を描く、岩井俊二作品。

今回は、映画『花とアリス』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。

『花とアリス』の作品概要

上映日2004年
上映時間135分
制作国日本
監督岩井俊二
脚本岩井俊二
音楽岩井俊二
出演鈴木杏/蒼井優/郭智博/平泉成/木村多江/相田翔子

『花とアリス』は、キットカットの30周年を記念して作られた、岩井俊二監督の短編映画を同監督が長編映画化した作品。

豪華キャストを端役としてふんだんに使うという遊び心が話題を呼んだ。

『スワロウテイル』や『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を製作した、日本を代表する映画監督の独特なタッチにも注目。

『花とアリス』のあらすじ

幼馴染の花とアリスは、何をするにもいつも一緒。馴れ合いのない、さっぱりとした関係をお互いにとって、居心地の良いものだった。

だが、そんな関係も花の初恋をきっかけにして、少しずつ変化していく。初々しく不器用な三角関係を描く人間ドラマ。

登場人物紹介

荒井花(鈴木杏)

素直でマイペースな少女。高校1年生。花の幼馴染。

有栖川徹子(蒼井優)

自由奔放な少女。高校1年生。アリスと呼ばれている。

宮本雅志(郭智博)

手塚高校落語研究会の上級生。独特なオーラを放っている。

黒柳健次(平泉成)

アリスの父。妻とは離婚している。

堤ユキ(木村多江)

花とアリスの通うバレエ教室の講師。

『花とアリス』のネタバレ

この先、『花とアリス』のストーリーを結末まで解説しています。ネタバレを含んでいるためご注意ください

【起】初恋と記憶喪失

中学生の(荒井花)とアリス(有栖川徹子)は幼馴染で、何をするにもいつも一緒です。同じバレエ教室に通い、誰が見ても親友の2人ですが、お互いのことを「君」と呼ぶなど、さっぱりとした一面もありました。

ある日、アリスは通学中の電車で見かけた高校生のデイヴに一目惚れをします。アリスは花に恋愛相談をしますが、花にはデイヴの良さがわかりませんでした。

しかし、花は次第に、デイヴと2人で登校する高校生の宮本雅志に興味を持ち始め、気づいた頃には恋に落ちていました。

アリスの恋はすぐに冷めましたが、花の想いは膨らむばかりです。アリスと、そして雅志と同じ高校に進学した花は、雅志が落語研究会の部員であることを突き止め、何のためらいもなく入部します。憧れの雅志に近づけたことに高揚する花ですが、雅志は花のことを気にもとめません。

 

部活動が終わると、花は、帰路につく雅志の尾行をしました。雅志は帰宅中も歩きながら落語の本を読んでいます。すると、前を見ずに歩いていた雅志は半開きのシャッターに頭をぶつけ、倒れます。

花は慌てて駆け寄り、雅志に話しかけます。意識のぼんやりとした雅志に、花は「先輩は私に告白した過去があるのを忘れたんですか?」と言います。

花は雅志に、記憶喪失になったのだと嘘をつきます。花は自分の恋を叶えるために必死です。

その後、雅志は半信半疑のまま病院に行き、検査を受けますが異常はありませんでした。それでも花は諦めず、嘘をつき続けます。そうして花は無理やり、雅志と偽の交際関係を持ちます。

【承】嘘を重ねる

ある日、雅志は、花に頼まれ、花のパソコンを直しに行きます。そのとき、雅志が偶然開いたフォルダの中から、雅志と出会う前に、花が盗撮した雅志の写真が大量に出てきます。

雅志は花のことがわからなくなり、恐れるようにすらなります。

一方、アリスはその時、街で芸能プロダクションの女性にモデルとしてスカウトされます。アリスは急いで花に電話をして「一緒に来てほしい」と言います。

しかし、雅志とデート中の花は、それを拒みます。短絡的なアリスは拗ねて「もう電話はしない」と言って、音信不通になります。

 

時が経つにつれ、雅志の花への不信感は強くなっていきます。そして、ついに、花のパソコンから自分の写真を見つけたことを明かし、自分が本当に花に告白したのか、と尋ねます。

焦った花は、またも機転を利かせ、パソコンの中の写真は、雅志の元カノの有栖川徹子が撮って、送ってきたものだと嘘をつきます。喧嘩中の親友を利用して、複雑な関係を作ってしまいました。雅志としては、アリスと付き合っていた記憶も無いので、ますます困惑します。

翌日、雅志は学校で、アリスのもとを訪ねます。教室から出てきたアリスは「私たちもう関係ないでしょ!」と棒読みで怒り、去っていきます。花がアリスに、記憶喪失した雅志の元カノのフリをするよう頼んだのです。純粋なアリスは、花の嘘を鵜呑みにしました。

雅志は、付き合った記憶のない初対面の女性に突き放されたことで混乱します。

【転】三角関係

雅志は、記憶喪失を疑い、病院で再び検査を受けます。そのとき、ちょうどアリスもバレエで足を怪我していて、病院で鉢合わせます。アリスは元カノのフリをして、雅志と話をします。それから、アリスと雅志は距離を縮め、デートをするようになります。

やがて、雅志はアリスに情が移り始めます。雅志は、そのことをアリスに打ち明けますが、アリスとしては親友の彼氏であるだけに、素直に喜べません。「付き合っても、また自分が捨てられる」と言って、アリスは雅志の好意をはねのけます。

夏祭りの日。1人で遊びに来ていた雅志は突然、倒れ込みます。そこに、偶然近くにいた花が駆けつけ、雅志を助けます。花は雅志を家に運び、寝かせます。そこで、花は、雅志がアリスのことを想っていることを知ります。花は耐えられなくなって、「薬を買う」と言って外に出ます。

花が外に出ると、怪しげな格好で踊るアリスを見かけます。思わず立ち止まった花のもとにアリスがやって来て、2人は話をします。そこで、花は、雅志は本当は記憶喪失ではないということを打ち明けます。

【結】記憶探し

雅志は、花とアリスと3人で「記憶探し」をすることになりました。海岸に訪れ、架空の「昔やった遊び」を楽しみます。もちろん、すべて嘘で、雅志に記憶喪失を信じさせるための演技でした。

しかし、雅志は花とアリスの嘘を見破ります。アリスは「昔、よく2人でところてんを食べた」と言いますが、雅志はアレルギーでところてんを食べられません。これにはアリスもどうしようもなく、嘘を認めて謝ります。

その頃、アリスも雅志に好意を寄せていましたが、2人は別れるのでした。こうして花とアリス、そして雅志の不思議な三角関係は幕を閉じます。

 

花は、アリスと過ごした過去に思いを馳せていました。実は、花は昔、登校拒否をして家に引きこもっていました。しかし、そんな花をアリスがバレエ教室に誘い、連れ出したのです。

アリスは、ある雑誌のモデルオーディションに合格し、雑誌の表紙を飾ります。花とアリスはそれを喜び、笑い合いました。また、元の関係に戻ったのです。

『花とアリス』の感想

最高の監督(岩井俊二さん)と最高の女優(蒼井優さん)のコラボです。この2人の表現には――それを意図してやっているのかはわかりませんが――どうしたものか、初恋を思わせる切なさと瑞々しさを感じます。

岩井俊二大学蒼井優学部の私としては、この映画は観る前から無条件にいい映画認定しているのですが、それを抜きにしても名作です。それこそ、本当に初恋のように、鑑賞後も頭に貼り付いて、胸を締め付けるのです。

もし、7時間の睡眠時間を確保できる範囲で夜ふかしできるのであれば、今日中にでもこの映画を観ていただきたいです。

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