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映画『THE 有頂天ホテル』のあらすじ・ネタバレ・感想

天才脚本家の手掛ける傑作ドタバタコメディ。

今回は、映画『THE 有頂天ホテル』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。

『THE 有頂天ホテル』の作品概要

上映日2006年
上映時間136分
制作国日本
監督三谷幸喜
脚本三谷幸喜
音楽本間勇輔
出演役所広司/松たか子/佐藤浩市/香取慎吾/篠原涼子/戸田恵子

『THE 有頂天ホテル』は、『笑の大学』や『マジック・アワー』など数々のコメディ作品を手掛ける天才脚本家、三谷幸喜が監督を務めるドタバタコメディである。

映画は大ヒットして、興行収入は60.8億円を記録した。

第30回日本アカデミー賞にて、多くの部門で賞を受賞した。

『THE 有頂天ホテル』のあらすじ

大晦日。「ホテルアバンティ」では毎年恒例の年越しパーティが開かれる。このパーティは重要で、ホテルの威信が懸かったものだった。

そんな緊迫した状況のホテルに、一癖も二癖もある宿泊客たちがやって来る。

ホテルの運命はいかに。

登場人物紹介

[box class="white_box" title="ホテル従業員"]

新堂平吉(役所広司)

ホテル・アバンティの副支配人。

竹本ハナ(松たか子)

客室係。武藤田の元愛人。

只野憲二(香取慎吾)

ベルボーイ。プロ歌手を目指していた。

二階堂源一(伊東四朗)

総支配人。面倒な仕事は新堂に押し付ける。

[/box] [box class="white_box" title="客"]

武藤田勝利(佐藤浩市)

汚職国会議員。

神保保(浅野和之)

武藤田の秘書。

ヨーコ(篠原涼子)

コールガール。

堀田衛(角野卓造)

マン・オブ・ザ・イヤー受賞者。

堀田由美(原田美枝子)

衛の妻。副支配人新堂の元妻。

坂東健治(津川雅彦)

事故に遭った大富豪。

坂東直正(近藤芳正)

健治の息子。耳が大きい。

[/box] [box class="white_box" title="芸能人"]

徳川膳武(西田敏行)

大御所演歌歌手。ベテランだが、緊張に弱い。

桜チェリー(YOU)

新人歌手。

[/box]

『THE 有頂天ホテル』のネタバレ

この先、『THE 有頂天ホテル』のストーリーを結末まで解説しています。ネタバレを含んでいるためご注意ください

『有頂天ホテル』は、沢山の人物が登場する群像劇です。混乱を防ぐため、文頭に《》で、誰の話かということを記しておきます。ご参照ください。

【起】大忙しの大晦日

大晦日の夜。ホテル・アバンティでは毎年恒例の年越しパーティの準備が進められていた。このパーティは、ホテルの威信を懸けた重要なイベントである。従業員たちは、気を引き締めて、業務に臨んだ。

 

《武藤田》
その日は、大量のマスコミ関係者たちがホテルに押しかけていた。企業から賄賂を受け取った国会議員の武藤田勝利が、ホテルのスイートルームに泊まりに来ていたからだ。

《衛》
また、その日はスタッグ・ディレクター(鹿の交配を研究している人)のイベント「マン・オブ・ザ・イヤー」の授賞式があった。受賞者は堀田衛という男なのだが、その妻の由美は、副支配人である新堂平吉の前妻だった。

《憲二》
そしてまた、その日は、ベルボーイの只野憲二の送別会の日だった。憲二はプロの歌手を目指していたが、夢を諦め、田舎に戻るのだと言う。憲二は、自分のギターとバンダナ、幸せになれるという人形をホテルの従業員たちにプレゼントした。

 

《ダブダブ》
面倒な客はまだまだいた。パーティに参加する腹話術師の相方であるダブダブ(アヒル)は行方不明になった。

《チェリー》
そこに怪しげな芸能プロダクションの社長が来て、新堂に新人歌手の桜チェリーを売り込んだ。社長は新堂に、チェリーのいるスイートルームの鍵を渡し、枕営業をほのめかした。

こうして、最悪な夜が幕を開けた。

【承】入り組む人間模様

《衛》
堀田衛は、ラウンジに来ていた。そこに、売春婦のヨーコがやって来た。衛とヨーコは以前、関係を持ったことがあり、ヨーコは、そのとき衛が全裸でダンスを踊ったときの動画を持っていた。

衛は、慌てて動画を削除させようとするが、ヨーコはそれを拒んだ。

《憲二》
ラウンジには、ベルボーイを引退した憲二もいた。そこに、憲二の古い友だちである小原なおみがやって来る。

なおみは、キャビンアテンダントの制服を着ていた。なおみは、憲二が夢を諦めたと知ると、怒り出した。

 

《ハナ》
そのころ、客室係の竹本ハナはスイートルームの清掃をしていた。ハナは、憂さ晴らしに、部屋にあった、宿泊客の宝石とコートを身に着けて遊んでいた。

そこに、突然、耳の大きな男が部屋に入ってきて、ハナをラウンジに連れて行った。

宿泊客の服を着ていたハナは、服の持ち主と間違えられていた。実は、服の持ち主は、先ほどキャビンアテンダントとして現れた、憲二の旧友のなおみだった。

なおみは「おやじ」と呼ばれる男性の愛人である。そして、耳の大きな男は「おやじ」の息子だ。息子は、なおみの顔を見たことがなく、清掃係のハナをなおみと勘違いしたのである。ハナとしても、勤務中に客の服を着ていたとも言えず、ラウンジへと連れて行かれたのだった。

《武藤田》
そのとき、マスコミから逃げようとする武藤田が、地下の駐車場にいた。そこに、売春婦のヨーコがやって来る。武藤田はヨーコに気を惹かれ「逃亡をやめる」と言い出す。武藤田の秘書である神保保は、呆れながらもそれに従う。

 

《新堂》
場面は変わり、副支配人の新堂が映される。新堂は、前妻の由美に話しかけられ、動揺を隠せない。新堂は、もともと舞台監督を目指していたのだが、夢を諦めていた。しかし、由美にはそれを言い出せず「今年のマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた」と嘘をつく。

「マン・オブ・ザ・イヤー」は、スタッグ・ディレクター(鹿の交配を研究する人)のイベントであるのに、新堂はステージ・ディレクター(舞台監督)と勘違いしていた。由美は、「マン・オブ・ザ・イヤー」の受賞者である衛と再婚したとは言い出せなかった。

【転】どたばたホテル

《ハナ》
「おやじ」の息子は、ハナに手切れ金を渡し「おやじ」と別れるよう頼んだ。しかし、ハナは、なおみに同情して「別れない」と言った。ハナは、武藤田の元愛人であり、子どももいた。シングルマザーの苦しみを、誰よりも理解していた。

《憲二》
大忙しのホテルで、従業員は足りていなかった。そこに、大御所の演歌歌手である徳川膳武がやって来る。新堂は、近くにいた憲二に声を掛け、徳川の接待をするように言う。

憲二と話していたなおみは、徳川に自分を売り込むよう、憲二を説得する。

 

《新堂》
「マン・オブ・ザ・イヤー」授賞式の準備を進める新堂は、イベントが舞台監督ではなく、鹿の研究者たちのものであると気づく。

しかし、一度ついた嘘をそう簡単に取り消せるはずもなく、新堂はその後も嘘を塗り重ねていく。

イベント会場にいた由美は、外に出る。新堂は由美を追いかけるのだが、そこに逃亡中のアヒル、ダブダブがやって来て、新堂の耳を噛んだ。負傷した新堂は、先ほど受け取ったスイートルームの鍵を使って、応急処置をするために部屋に入った。

部屋には、枕営業をするため待機していたチェリーがいた。しかし、チェリーはこれではいけないと思い、新堂を殴り、部屋を飛び出した。新堂は「最悪の夜だ」と言って、部屋を出た。

 

《衛》
衛は、最上階のレストランでヨーコを見つける。ヨーコは、武藤田と食事をしていた。

衛はヨーコに、全裸の動画を消すよう懇願するが、ヨーコは応じない。衛は武藤田に追い払われるのだった。

《武藤田》
武藤田はヨーコに、真実を話して政治家を引退するか、このまま汚職政治家として活動するかを相談していた。悩み込んで自殺を考える武藤田を、ヨーコは励ます。

しかし、そんな思いやりも届かず、武藤田は部屋に閉じこもるのだった。

【転】トラブルはつづく

《二階堂》
総支配人の二階堂源一は、気ままに、パーティに出る芸能人たちの楽屋に遊びに来ていた。二階堂は、楽屋にあった白粉を自分の顔に塗り、楽しんでいた。そのとき、マジシャンのホセ・河内が、自分の白粉がなくなったことに気づき、激怒した。

二階堂は慌てて楽屋を出て、洗顔料を求めてホテルをさまよう。しかし、白塗りの顔面は人々に不審者扱いされるばかりだった。二階堂は、とりあえず、倉庫の中に逃げ込んだ。

《チェリー》
チェリーは、ヨーコのカツラと服を盗んで、社長から逃げていた。それを見た衛は、チェリーをヨーコと勘違いして、追いかける。

倉庫に逃げ込むチェリーの後を追い、衛も倉庫に入る。そこには、白塗りの二階堂の姿があった。

 

《新堂》
「マン・オブ・ザ・イヤー」の授賞式が始まった。しかし、主役の衛がいないため、関係者は困っていた。そこに新堂が登壇し、衛の代わりにスピーチをする。

たどたどしいスピーチをする新堂に、由美は「嘘をつく必要はない」と言った。

《武藤田》
そのとき「武藤田が大変だ」という報せが入る。武藤田は、部屋に鍵を掛け、自殺しようとしていた。そこに新堂が駆けつけるが、丈夫なチェーンロックは切れなかった。

 

《憲二》
憲二となおみは、演歌歌手徳川の部屋で接待をしていた。繊細な徳川は、舞台に立つことに緊張して、情緒不安定になっていた。

憲二は、なおみの提案で、徳川のために自作の歌を歌うことにした。憲二の歌は徳川を励まし、徳川も一緒に歌い始めた。

《武藤田》
隣の部屋から、憲二と徳川の歌が聞こえてきた。その歌詞は武藤田に届き、自殺を思いとどまった。武藤田は、隣の部屋に行き、憲二を抱きしめた。

 

《なおみ》
なおみは、キャビンアテンダントの変装を脱ぎ、部屋に戻った。

《ハナ》
ハナはなおみとして「おやじ」と話していた。ハナは「おやじ」に「愛しているなら一緒になるべきだ」と言い残して、客室係の業務に戻った。ハナは、なおみと遭遇すると、なおみに「おやじ」の居場所を教えた。

【結】最悪の夜の最高の奇跡

《憲二》
憲二はホテルのチャペルに来ていた。すると、そこにダブダブがやって来て、憲二にバンダナを届けた。

ちょうどそのとき、憲二がギターを渡した客室係の野間睦子が、プロポーズをされていた。睦子は、憲二を見つけると、憲二にギターを返すのだった。

 

《武藤田》
武藤田は改心し、記者会見ですべてを打ち明けると決めた。しかし、そこに元愛人のハナが現れ、武藤田に「かっこ悪くても生き残る道を選びなさい」と諭した。

ハナの言葉に気持ちの揺らいだ武藤田は、記者会見を中止にする。しかし、秘書の神保は、日頃の鬱憤を晴らすため、武藤田の汚職の証拠を記録した携帯電話を持って、逃げていく。

武藤田は、慌てて神保を追いかける。

《衛》
そのとき、物置から衛が出てくる。衛は、神保の携帯がヨーコのものであると勘違いして、それを破壊した。衛は、安心して走り去った。

 

《武藤田》
ホテルには、すでに多くのマスコミ関係者が集まっていた。今さら記者会見を中止することはできないため、新堂は、必ずマスコミから守るという約束をして、武藤田に記者会見を開かせる。

武藤田は記者会見に出てくるが、すぐに会見の中止を言い渡し、席を立つ。マスコミ関係者が騒ぎ立てる中、徳川が現れ、歌い出す。その間に、新堂は、武藤田に従業員の変装をさせて、ホテルから逃した。

 

《全員》
年越しのカウントダウンは、チェリーが行った。パーティは大成功に終わり、客たちは幸せな空気に包まれていた。

ホテル・アバンティの1年は終わり、そして始まるのだった。

『THE 有頂天ホテル』の感想

超大作でしたね。さすがは三谷幸喜です。短編映画が作れそうなほどリアルなドラマが1人1人にあって、それを全部つなげて1本の映画にしてしまうのですから、大したものです。

私は大学で演劇をやっていて、自分で脚本を書くこともあるのですが、そのような視点から見ても、三谷幸喜は雲の上の存在です。オリュンポス十二神の新メンバーとして加入してほしいくらいです。

とにかく、ありえないくらい緻密に計算された作品です。これだけ複雑な話を、1回観ただけで理解できるほど、わかりやすく、そしておもしろく描く天才脚本家の圧倒的な筆力をぞんぶんにお楽しみください。

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